球磨焼酎(米焼酎)の選び方は?人気の焼酎や飲みやすい焼酎など初心者向けガイド

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米焼酎の代表格と言えば、熊本県人吉球磨地方で作られている球磨(くま)焼酎。球磨焼酎を作っている蔵は27蔵もあり、それぞれの蔵が何種類もの焼酎を作っていることも珍しくありません。そうなってくると、初めて球磨焼酎に挑戦する方にとっては選ぶのが困難です。そこで本記事では、球磨焼酎案内人である筆者が、あなた好みの球磨焼酎を探すためのお手伝いをさせていただきます。

球磨焼酎とはどんな焼酎?

そもそも球磨焼酎とは普通の米焼酎とはなにが違うのでしょうか?「球磨焼酎」は焼酎のなかでも「壱岐焼酎」「球磨焼酎」「薩摩焼酎」「琉球泡盛」しか認定されていない地理的表示(GI)の産地認定を受けています。そのため、球磨という地名を名乗る焼酎には4つの決まりがあります。

  • 焼酎の原料には国産米のみを使用すること
  • 人吉球磨の水で醪(もろみ)を仕込んでいること
  • 人吉球磨で蒸留を行っていること
  • 人吉球磨で瓶詰めをしていること

そのほかにも、球磨焼酎は日本遺産の一部にもなっており、飲みものとしてはもちろん、人吉球磨の文化を語るうえでも欠かせない存在なのです。

球磨焼酎の選び方の基本 蒸留方法と保存方法

好みの球磨焼酎を探すうえで知っておくと便利な蒸留方法と保存方法について簡単にご紹介します。これだけ知っておくだけで段違いに焼酎が選びやすくなりますよ!

常圧蒸留と減圧蒸留

好みの球磨焼酎を探すとき、一番に目安となるのは蒸留方法の違いです。蒸留方法には大きく分けると常圧蒸留と減圧蒸留があります。常圧蒸留は昔ながらの作り方で、独特の香りとコクがあります。一方で減圧蒸留は現在主流の作り方で、軽やかでクセのない味わいになります。まずはこの違いを知っておくだけでも、焼酎選びは大きく変わるでしょう。

常圧と減圧の違い

樽熟成も大きなポイント!

また、焼酎を樽熟成しているかも味を決める大きなポイントです。樽熟成をしていると、樽の風味が焼酎に移ります。一般的な焼酎と言われて思い描く風味とはまったく違う味が出てくることもあります。

球磨焼酎の味わい4タイプ

球磨焼酎は蒸留方法や保存方法によって大きく4タイプに分けられており、それぞれマッチする食事も違います。球磨焼酎組合によると下の通りです。

  • ライトタイプ
    端麗~香り穏やか軽快な味わい~
    パスタなどシンプルで素材を活かした料理
  • フレーバータイプ 
    香華~香り高く華やかな味わい~
    カルパッチョなど華やかな香りが際立つ料理
  • リッチタイプ
    濃醇~香り深く重厚な味わい~
    スペアリブなどしっかりした味の付いた肉料理
  • キャラクタータイプ
    樽熟成~香り高く濃厚な味わい~
    ナッツ、チョコなどスイーツやスパイシー料理
    参考:球磨焼酎案内人養成講座テキスト

初心者に飲みやすい球磨焼酎とは?

この4つのタイプのなかで飲みやすくて初心者におすすめしやすいのがライトタイプとフレーバータイプです。それぞれご紹介していきます。

ライトタイプ

白岳 しろ
おそらく全国、世界で一番出まわっている球磨焼酎と言えば、この白岳しろです。九州外で球磨焼酎を見かける機会自体少なめではありますが、もし見かけるとしたらしろが多いと思います。それぐらい定番品。穏やかで軽め、シンプルな味わいの焼酎です。

松下醸造場 最古蔵
柔らかな甘みとキレのあるクリーンな焼酎。クリアななかにも米焼酎らしい甘みがしっかりあるので、お湯や水で割っても負けません。ちなみに、最古蔵の由来は球磨焼酎最古の蔵元が作り上げた焼酎として名付けられたそうです。

福田酒造 山河特醸
甘くて軽やか。焼酎としての香りも穏やかで初心者にも飲みやすい球磨焼酎の代表格です。2017年には熊本国税局酒類鑑評会優等賞も受賞しています。シンプルな味わいですが甘みもあるので、ストレートだけでなくロック、ソーダ、水割りと割り方を選びません。

大和一酒蔵元 温泉焼酎 夢
この蔵のユニークなところは蔵に温泉が湧いているところ。そのため、温泉水を使用した焼酎を作られており、蔵としても”日本唯一の焼酎”を目指しているそうです。温泉焼酎夢は減圧らしくすっきりとした味わいなだけでなく、弱アルカリ性の温泉を使用しており、蔵元曰く「体に優しく酔い覚めもさわやか」とのこと。

フレーバータイプ

繊月酒蔵 織月 
球磨焼酎の地元人吉で一番飲まれている焼酎と言えば、間違いなくこれです。県外ではまず見かけませんが、人吉の居酒屋で米焼酎を頼めばまずこれが出てきます。そのぐらい万人向けのお味。バランスがあり、とにかくクセがなく飲みやすい味です。

高田酒造場 あさぎりの花
ナデシコの花からとれた花酵母を使用しており、とにかく華やかな焼酎です。まさにフルーティの表現が似合う味。2024年フランス開催「kuraMaster」本格焼酎・泡盛部門でプラチナ賞も受賞しています。飲み方はなんでもいいですが、個人的には甘さがしっかりしており、華やかさが引き立つのでソーダ割りがおすすめ。

鳥飼酒造 吟香鳥飼 
名前の通り、華やかな吟醸香がありますが、派手すぎないバランスのある味わいの焼酎です。日本酒の吟醸酒などが好きな方にもおすすめ。決して規模の小さくない蔵ですが、鳥飼酒造の作っている焼酎はこの鳥飼だけというところから自信がうかがえます。余談ですが、数年前に『ポツンと一軒家』で一度放送されて入手困難になった時期がありました。

深野酒造 彩葉 
いろいろな限定酒や意欲的なコラボ焼酎をされている深野酒造の代表格 彩葉。すっきりとしていますが、華やかさ、うまみ、甘みのバランスがいいタイプの焼酎で飲みやすいです。モンドセレクション2000、2001で金賞を受賞しています。

お湯割りや焼酎らしさを楽しみたい方向け

球磨焼酎のなかでも比較的しっかりした味わいや濃厚な味わいを求めたいなら主にリッチタイプや常圧の焼酎がおすすめです。ただ、ひと口にリッチタイプと言っても、焼酎の香りが強いものから、香りは弱いけれども甘さや濃厚さがしっかりしているタイプなど様々あります。

リッチタイプ

林酒造場 極楽 常圧
ひとくち含むと、常圧らしい濃いコクと香りを感じますが、決してクセは強くありません。常圧焼酎が初めての方でも飲みやすいタイプの味わいです。TWSC2022最高金賞、Feminalise 2023金賞、Kuramaster2023金賞などを受賞している定番の商品のひとつ。

豊永酒造 豊永蔵
常圧らしい力強い濃さのなかに酸もあり、濃さだけではないキレの良さを感じます。2022酒屋が選ぶ焼酎大賞 米焼酎部門1位、2024フランス開催Kuramasterプラチナ賞受賞など、受賞歴も多い焼酎です。

木下醸造所 文蔵25度
常圧ながら濃さよりも甘さが目立つ。最初の香りや味わいの時点ではガッツリ濃いめかな?と思いきや、後味は柔らかく解けていきます。米焼酎を普段から飲んでいる方には懐かしいと感じられる味わいではないでしょうか。

那須酒蔵場 球磨の泉
常圧ではあるものの、長期熟成されているためか、濃厚でガツンとした味というよりアタックから柔らかいため飲みやすく、甘さと酸があり軽やかです。2013年春季全国酒類コンクール/本格焼酎・米焼酎部門第一位も受賞されています。

特徴市酒蔵 特吟六調子
コクがあり、甘さや苦みなど、コンプレックスな味わいのタイプの焼酎。飲みやすい焼酎だけでなく複雑な味わいの焼酎を飲んでみたい方におすすめ。球磨地方らしい椿の柄がラベルにもプリントされてているのでお土産やギフトにも向いています。

寿福酒蔵 武者返し25度
常圧焼酎のみを作る寿福酒蔵の武者返し。うまみのあるタイプでまったりした甘さの持続性が長いタイプの焼酎です。癖は少ないので常圧では万人向けです。ときどき本州でも見かけることがあるので、本州の居酒屋さんで米焼酎を飲まれる方は飲んだことがあるかもしれません。

ロックやソーダ割などにおすすめしたい焼酎

ロックやソーダ割におすすめなのが、樽香のついたキャラクタータイプの焼酎です。樽香の強いタイプの焼酎はウイスキーのような印象に近いものもあったりと、米焼酎のイメージとは一線を画すかもしれません。

キャラクタータイプ

大石酒造 大石
しっかりした樽香のついた濃い甘さを感じる焼酎です。スタンダードラベルの大石以外にも、シェリー樽やコニャック樽など球磨焼酎の樽貯蔵にいち早く乗り出した蔵なので、まずは樽焼酎にご興味があるならこちらで探してみるとよいでしょう。

淵田酒造本店 一勝地
ブランデーのように色味がかった樽の濃さと風味。色味の通り樽の甘さが効いていて、個人的には特にロックやソーダ割におすすめの焼酎です。樽貯蔵の前に瓶熟成なども重ねているので、口当たりも柔らかで飲みやすいです。

上楽酒造 秋の露 樽
柔らかい樽香と柔らかい甘さ。色味も透明に近く、樽焼酎とは思えないほどとにかく飲みやすいのが特徴です。樽焼酎が初めてという方にもおすすめしやすい味わいですよ。

キャラクタータイプ以外のソーダ割におすすめの球磨焼酎

白岳 KAORU 
現在のトレンドに合わせてソーダ割用に開発されたボトル。ソーダ割との相性は球磨焼酎のなかでもトップクラスで順調に市場を広げています。最近では缶のKAORUハイボールが一部のセブンイレブンで販売開始されたほど。

球磨焼酎27蔵ガイド

今回ご紹介した焼酎はほんの一部です。以下に、今回ご紹介した蔵やそうでない蔵も一覧にしてご紹介しますので、今後の焼酎選びの参考にしてくださいね!それぞれの蔵の代表的な銘柄も一緒にご紹介します。

  • 大石酒造場 ー 大石 特別限定酒
    球磨川の最上流にある焼酎蔵。樽熟成の焼酎で有名
  • 松下醸造場 ー 最古蔵
    200年超の歴史を持つ球磨地方最古の老舗蔵。米造りから一貫して行う
  • 林酒造場 ー 極楽 減圧蒸留
    地酒「極楽」は地元の居酒屋や酒屋でも人気の一品
  • 豊永酒造 ー 豊永蔵
    オーガニック認証も持つ蔵。伝統的焼酎に加えリキュール造りで有名
  • 恒松酒造本店 ー 球磨拳
    吟醸酒用黄麹を使用した球磨拳はフルーティな味わいでユニーク
  • 抜群酒造 ー ばつぐん
    県外用の商品開発などにも力を入れている蔵。名前の通り”抜群”の焼酎
  • 宮元酒造場 ー 九代目
    5年瓶熟成をした九代目は優しい味わいで生で飲むのがおすすめらしい
  • 房の露 ー 特醸 蔵八
    日本酒で使われる熊本9号酵母を使用した焼酎など、チャレンジし続ける蔵
  • 木下醸造所 ー 文蔵25度
    常圧が持っているうま味を大切にしている蔵。ファンも多い
  • 那須酒蔵場 ー 球磨の泉
    家族3人だけの少人数蔵。手造りにこだわった丁寧な造りの焼酎
  • 高橋酒造多良木工場 ー 白岳
    しろで有名な白岳の多良木蔵。”白岳”も主力商品のひとつ
  • 堤酒造 ー 奥球磨櫻
    伝統的な焼酎だけでなくリキュール開発も力を入れており、バーでの評価も高い
  • 松の泉酒蔵 ー 松の泉25度
    自社田や梅園を持ち、農業から一貫した焼酎造りを行う。
  • 松本酒造場 ー 萬緑
    地元米に自家培養酵母を低温発酵させて仕込んだ『萬緑』は華やかな香り
  • 高田酒造場 ー 秋の穂
    伝統的な造りの蔵ながら、近年でフルーティな焼酎、華やかな焼酎も提供
  • 宮原酒造場 ー 宮の誉
    減圧と常圧で黒麹と白麹を使い分けるなど、ボトルごとに異なる個性が楽しめる蔵
  • 常楽酒蔵 ー 秋の露 樽
    樽熟成にこだわりを持つ蔵。フルーツの里錦町のフルーツを使ったリキュールも
  • 六調子酒蔵 ー 特吟六調子
    特に常圧の焼酎で有名で、ラベルにも人間国宝のデザイナーに依頼するなどこだわる
  • 鳥飼酒造 ー 鳥飼
    銘柄は鳥飼のみでありながら、全国展開もされるこだわりの蔵
  • 淵田酒造場 ー ※臨時休業中
  • 繊月酒蔵 ー 繊月
    地元の大手蔵。地元での消費量が多く、人吉観光をしていて見かけないことはありません
  • 寿福酒蔵場 ー 武者返し25度
    女性社長で杜氏が作る焼酎。常圧にこだわりを持つ蔵で全国でも名前を耳にする
  • 福田酒造 ー 山河
    様々なフレーバーを持つ焼酎の開発など先進的な蔵
  • 深野酒造 ー 彩葉
    歴史ある蔵ながら、熊本大学やキャラクターコラボなどの商品開発も
  • 高橋酒造本社 ー しろ
    全国的に有名なしろを生み出す高橋酒造の本社。蔵見学もおすすめ
  • 大和一酒蔵元 ー 温泉焼酎夢
    自社に湧き出す温泉水を使用した焼酎造りを行う、人吉球磨でもユニークな蔵
  • 淵田酒造本店 ー 一勝地25度
    昔から品評会などで受賞歴を持つ蔵で、伝統的な造りの味わいが楽しめる

※小規模蔵が多いので、大手サイトでは一升瓶以外のサイズが売っていないボトルも多いです

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