熊本県南部に位置する球磨郡あさぎり町。
球磨川の清冽な伏流水と豊かな米に恵まれたこの地で、明治41年(1908年)から歴史を紡ぐ小さな蔵元が「松本酒造場」です。
手造りの伝統と醸造科学に基づいた技術を融合させ、妥協のない焼酎造りを続けています。
本記事では、蔵元の背景や徹底した「酵母」へのこだわり、そして代表銘柄である「萬緑(ばんりょく)」や「緑松(みどりまつ)」の魅力を詳しくご紹介します。
醸造学の知識を結集した蔵元の「学歴」と酒造りの背景
松本酒造場の酒造りを支えているのは、伝統的な技法だけではありません。
蔵元は東京農業大学 醸造科学科の出身であり、醸造学に関する専門的な知見と高度な知識を備えた造り手です。
酒造りの根幹となる
「なぜこの発酵が起こるのか」
「どうすれば理想の香りと味わいを再現できるのか」
を理論的に理解し、母校である東京農業大学からの技術協力も受けながら、高品質な球磨焼酎造りを追求しています。
松本酒造場の真骨頂「自家培養酵母」への徹底したこだわり
酒造りにおいて「一麹・二酛・三造り」と言われますが、松本酒造場が特に力を注いでいるのが「酵母の管理と自家培養」です。
一般的な焼酎造りを超えた、独自のこだわりポイントは以下の通りです。
蔵元自らが行う自家培養
大学で培った醸造技術を活かし、当蔵ならではのオリジナル酵母を蔵元自ら管理・自家培養しています。
仕込みごとの高い純度コントロール仕込み容器ごとに純粋培養した酵母を贅沢に使用。
莫大な手間と時間がかかりますが、酵母の純度を高めることで発酵のコントロール精度が劇的に向上します。
これが面白いボトルを生むきっかけともなっており、たとえば萬緑外伝では人吉城跡の土から酒造りに使える酵母だけを分離した「人吉城跡酵母」を使用しています

「変わらない美味しさ」の再現
自然に左右されやすい酒造りにおいて、毎年変わらない「松本酒造場ならではの味覚」をお届けするために、この手間隙を惜しまないアプローチを続けています。
明治創業から続く「石作りの麹室」での手造り麹と、この厳格な自家培養酵母が組み合わさることで、穏やかでありながら深い味わいの焼酎が生まれます。
松本酒造場を代表する2大銘柄とその特徴
① 萬緑(ばんりょく)
多くのものの中でひとつ光り輝く存在
項目詳細
アルコール度数25度
減圧蒸留
原材料米(球磨産ヒノヒカリ)、米麹
名前の由来 王安石の詩「萬緑叢中紅一点(万緑の中に咲く一輪の赤い花)」より
【特徴と味わい】
「多くのものの中で、ひとつ特に優れて目立つ存在でありたい」という願いを込めて作られた本格米焼酎です。
自家培養酵母ならではのやさしく華やかな香りと、お米本来のふくよかな旨味、そしてスッと引いていく爽やかなキレ味が特徴。
主張しすぎず、食中酒としても飲み飽きしない上品な仕上がりになっています。
ラインナップメモ 麹の量を従来の倍以上使用してさらになめらかに仕上げた「萬緑 裏伝」や、力強い「萬緑 原酒」などのバリエーションも展開されています。
② 緑松(みどりまつ)— 創業以来愛され続ける伝統の定番酒
項目詳細
アルコール度数25度
原材料米、米麹
ラベルのモチーフ 地元・あさぎり町で出土した国指定重要文化財の鏡
【特徴と味わい】松本酒造場の原点とも言える定番銘柄です。
球磨川の伏流水と良質な米を使い、伝統的な小仕込みで丁寧に醸されています。
手造りならではの柔らかな口当たりと、お米の甘みがじんわりと広がる親しみやすい味わい。ロックや水割りはもちろん、お湯割りにすると米の旨味がさらに際立ちます。
蔵元見学や直販について
松本酒造では蔵見学はできません。
ですが、直販はされています。お1人で製造から営業までをされているため、必ずしも営業されているとは限りません。
もし営業されていない場合は、人吉の山田酒店を訪ねるのがおすすめです。

住所やアクセス
〒868-0408 熊本県球磨郡あさぎり町免田東347−3
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