東洋経済新報社が毎年発表している、全国の自治体を対象にした「住みよさランキング2026」において、熊本県人吉市が全国総合1位(2年ぶり首位)に輝きました。
1位になっていない2025年度も全国3位と高評価です。
なぜ人口3万人以下の地方都市が、並み居る大都市やそのベッドタウンを抑えて全国トップになったのかでしょうか。
SNSでは
「水害の爪痕も残っているのになぜ?」
「都会から遠くて利便性も悪いのになぜ?」
「地元の人がランキング作成にかかわっているのか?」
と疑問の声が上がっています。 そこで今回は、その理由をランキングの評価基準とあわせて解説します。
「住みよさランキング」の評価基準とは?
このランキングは、全国の792市と東京特別区(一部除く)を対象に、公的統計などから得られる20の指標を基に算出されています。
評価は大きく以下の4つのカテゴリー(観点)に分類されます。
| カテゴリー | 主な評価指標 |
| 安心度 | 人口当たりの病院・診療所数、介護老人福祉施設等の定員数、子ども医療費助成の対象年齢、刑法犯認知件数(治安)など |
| 利便度 | 人口当たりの小売商品販売額、大型小売店店舗面積、人口当たりの飲食店数など |
| 快適度 | 汚水処理人口普及率、都市公園面積、転入・転出人口比率など |
| 富裕度 | 財政力指数、市民1人当たりの所得、地方税収入額など |
人吉市が「全国1位」を勝ち取った2つの理由
人吉市が総合トップに立った理由は、4つのカテゴリーのうち特に「安心度」が全国トップクラス(4位)であること。
さらに「利便度」も地方都市としては異例の12位と、基礎的な生活インフラが極めて高く評価されたことにあります。
ここで勘違いされがちなのが「利便度」。
これは決して都会からのアクセスのしやすさなどを表しているわけではないことにご注意ください。
※むしろそれを基準にすると都市圏しかランクインしなくなります
医療インフラと治安の良さ(安心度)
人吉市は、人吉球磨地方の中心都市としての役割を担っているため、人口に対する病院や入院ベッド(病床)の数が非常に充実しています。
万が一の病気や怪我、シニア世代の暮らしを支える医療体制が整っていることが大きな強みです。
また、刑法犯の認知件数が極めて少なく、治安が良いこともポイントです。
全国1位を記録した「飲食店数」と生活の便利さ(利便度)
歴史ある城下町であり、100年以上の歴史を持つ「人吉温泉」の街でもある人吉市は、コンパクトな市街地に多数の飲食店や商業施設、公衆浴場がひしめき合っています。
実は、指標の一つである「人口当たりの飲食店数」では令和2年7月豪雨以前では全国1位を誇っていました。
現在でも、全国の同程度の規模のまちと比べて、人吉は全国有数の飲食店数を誇っています。
地方でありながら、外食や日常の買いものに困らない生活の利便性があります。
都会を基準にした生活ではない
ここで繰り返しになりますが、注意点として、このランキングは都会を基準にした生活水準ではないということです。
そうなってしまうと、東京や大阪など大規模な都市圏だけのランキングとなってしまいます。
そのため、「ランキング自体にバイアスがかかっている」という批判は否定できません。
ただ、この場合重要なのは、安全度と利便度という指標の示すもの。
「毎日の生活のなかでコンパクトに、安心して生きられる」という意味では、人吉は全国でもトップクラスの評価を得ているのは事実です。
突発的な災害も考慮はしていない
「人吉は水害の危険性があるのに安心度が高いのはなぜ?」といった方も見えます。
ランキングの基準を見てもわかるように、突発的な災害なども基準には含まれていません。
その意味では、この批判も否定できません。
一方で、人吉=水害というイメージが強い方が多いですが、実は甚大な被害を受けた令和2年7月豪雨のケースは35年ぶり。
加えて、現在は川辺川の流水型ダムの建設や、まちに水があふれる原因となった中川原公園(中州)の改善なども進められています。
↑2025年に市長と副市長に取材させていただいた記事「突発的な被災がありうる」のは否定しませんが、「より安全なまち」を目指すために、現在も球磨川流域のまちが一丸となって取り組んでいることは知っていただきたいです。
人吉が全国1位は妥当か?
「人吉が全国1位の住みやすいまちなのは妥当か?」
もってまわった言い方になりますが、「今回の基準で言えば妥当」だと思います。
こういったランキングは今まで焦点の当たってこなかった地方都市をピックアップすることも兼ねていると思うので、必ずしも一般的な価値観として「ランキング上位=住みやすいまち」と言えるかは分かりません。
一方で、「なぜ?」という方たちに知っていただきたいのは、「一定の評価基準でなら人吉が上位に来ることは客観的に妥当」ということ。
ランキング化して情報を単純化されると、どうしても疑問や批判が湧いてくるもの。
それでも、評価されたところは「良かった」、見逃されたところは「もっとここを改善していこう」と言えるようにしたいですね!



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